バリ島での2つのATM関連の事件で、ATMがトラウマになった話
Case. 1
2017年3月5日。僕はウブドで一泊したゲストハウスをチェックアウトし、雄大なライステラス(棚田)で有名なテガララン(Tegallalang)という小さな村へ向かおうとしていた。ネット情報によると、テガラランまではゲストハウスなどで自転車かバイクをレンタルする、バイクタクシーで行く、ツアーに参加する、といくつか方法があるようだ。僕はバイクタクシーで行くことを決断(バイクの運転はできないし、ツアーは高いし、ってな理由で)。
バイクタクシーはすぐに捕まったものの、手元のキャッシュが足りない。「テガラランに向かう前にATMに寄ってほしい」とドライバーのおっちゃんにお願いした。最初に寄ったATMは故障中だったのか下ろせなかったので、ちょっと先にある別のATMに連れて行ってもらい、無事にバイクタクシーの運賃分を確保。ちなみに運賃は完全に交渉制だが、僕の場合30分くらいの距離を往復で15万ルピア(118ルピア=1円)で乗れた。気温自体はかなり暑いけど、颯爽と走るバイクの上で、心地よい風が僕を通り抜けていった。
30分ほどでテガラランに到着。そして滞在時間30分という短い中で、観たかったもの、撮りたかったものをこなして再び同じおっちゃんの運転で帰路へ。
目的地に近づき、財布からお金を取り出し始めようとした際にふと、
「あれ、俺キャッシュカード取ったっけ、全然覚えがないぞ…焦」
既にお金を下ろしてからは1時間以上経っていた。
財布の中を見ると、やはり無かった。
「えっ、ヤバいヤバい。そのまま差し込まれたままやったら嬉しいけど、絶対あり得ん。中に入ってたとしても誰かに俺の預金勝手に下ろされてるかもしれん。とりあえずさっきのところに戻らな、ヤバい。」
おっちゃんには普通に運賃を払った後、僕はダッシュでATMに向かった。
「頼む、そのままであってくれ。取られたら最悪もう一枚のクレカと65ドルと日本円ちょっとで残りの2週間くらいを過ごさなアカン、それは勘弁……」
ATMの中には無かった。絶望感は頂点まで達していた。
とりあえず誰かにこのことを伝えたいと思い、辺りを見渡すと、ATMの側に警備員らしき人が座っていた。これはバリ島に限らず、途上国ではよく見られる光景だ。
「絶対分からんやろうけど、ダメ元で聞いてみるか…」
恐る恐る聞いてみる。
「I forgot to withdraw my cashcard here just before... Do you know ?」
すると、警備員は何も言わずに指をさした。何かと思ったらそこには俺のキャッシュカードが保管されてた。
「うわぁぁぁーーー!!!」
「Thank you very much !!」
あった!
俺のキャッシュカードあった!!
思わず彼の手を握り、握手をしてしまった(向こうは戸惑っていた笑)。
奇跡としか思えなかった。人生の運の半分以上を使った…笑
それぐらいの奇跡すぎる事件だった。こんなことあるんやなぁ。幸いキャッシュも抜き取られていなかった。
諦めなければ何かしら報われる、というのはこういうことだなぁ、と。
あまりに奇跡すぎる出来事だったので、その日の夜に呟いたツイートがこれ。
ATMでお金を引き出した後にキャッシュカードを取り忘れるという致命的なミスをして絶望的だったけど、警備員の方が保管してて、マジで奇跡過ぎて人生の運の大半を使ってしまった感がある笑
— ゆーてん (@yuuuu7en_343) 2017年3月5日
幸いキャッシュも引き出されてなかったし。
多分誰かが届けてくれたんやろうなぁ😭
Case. 2
翌日の3月6日。僕はレギャンのゲストハウスで朝食を取りに行く前に、次のゲストハウスの宿泊代を下ろしに、近くにあったコンビニのATMに。たまたま近くにいた現地人に「ATMはあの向こうにあるよ!」と親切にも教えられた。
(後にこの男が僕に牙を向けることになるなんて想像もできなかった...)
前日のキャッシュカードの取り忘れが強烈な教訓となり、「今日は絶対に取り忘れんぞ!!」とキャッシュ以上にむしろキャッシュカードの方に全神経を集中させた。手順を入念に確認しながら、英語で表示されたタッチパネルを押し進めていく。無事に取引を終え、カードを取り出そうとした。
そのときだ。
後ろから2人の男がさりげなく寄ってきて、1人は僕を抑え、もう1人が画面上の「取引続行」のボタンを押し、一挙に引き出せる最高額のボタン(200万ルピア)を押して、取引を終了させた。
ものの1秒のことだった。でも、抑えられている段階では何が起こっているのかが分からなかった。「キャッシュカードを取らせてくれよ!」って思いしかなかった。
「なんで俺抑えられてんの?」「あれ、今お前最高額のボタン押したよな...?」「あっ、俺お金取られてんねや。」って気付いた時には既に取られて逃走されたんだけど、もう一人の多分グルであろうやつは奥に身を潜めただけで外には逃げなかった(←お土産話として既に何人かの人に話した中で、「なんで強盗なのに逃げねぇんだよ」って一番突っ込まれた箇所w)。
ガチなATM強盗にあった…
— ゆーてん (@yuuuu7en_343) 2017年3月6日
悪いヤツはマジでタチ悪い
「お前俺の金取ったやろ?分かってんだよ、はよ返せや」って心の中で迫りながら、黙ってそいつのポケットを指差していると、これが意外にもすんなり返してくれた。50万ルピア。
「これで全部かなぁ」「いやでも確かあいつ200万ルピアのボタン押したような気もするんだけどなぁ(手馴れていてあまりにも動作が速かったため、僕自身確信はできていなかった)」半信半疑のまま、とりあえず泊まってたゲストハウスに帰って、Wi-Fiを接続し、明細書を確認。
「あっ、やっぱ200万取られてるやん!!」
すぐさまコンビニにダッシュ。同じ場所にいた良いインドネシア人(日本語喋れた笑)が、「ドウシタドウシタ」と僕に語りかけてきた。どうも一連の現場を見てたらしい。そして彼と一緒にグルもまだそこにいた(だからなんで逃げねぇんだよ笑)。僕は彼に詳しく事情を説明。
「さっきこいつ(グルを指差して)に200万引き出されて、50万は返してくれたんだけど、残りの150万がまだだ。」
すると彼は「俺はポリスだ。」と言って(今思うと本当だったのかな、普通に私服でビーサン履いてたし笑)、グルとバトって(交渉して)くれた。ものすごく激しめの怒鳴り合いだったけど、インドネシア語だったから僕は全く分からなかった。交渉してる間に、グルがバイクでもう一人の逃走した方の元(おそらく)に向かったりしてたけど、僕自身は「いやもう返って来んやろうなぁ」と半ば諦めていた。
しばらく経つと、ポリスが僕を呼んで、「150万のうち、100万なら返せる」と言ってきた。当然「いやいやあとの50万は?」って思ってしまうところだが、でも返ってくるだけ奇跡なんかなぁとも思いながら、僕は「あーじゃあ100万でいいからはよ返して。」とそれで承諾した。すんなり喜べないものの、これもある意味奇跡。
最終的に戻って来なかったのは50万ルピア。日本円にすると4200円相当。それでも現地の庶民にとっては割と大金レベル。
途上国に行く以上、こういう目に遭うのは、豊かな国に生まれ育った俺らにとって、もはや定めなんだろうか
— ゆーてん (@yuuuu7en_343) 2017年3月6日
それにしてもなんで返してくれたのかもすごい不思議。俺なりに考えてみたら、もしかしたら裏に黒幕がいて、あの2人はやらされてただけで根はいいやつなのかも(っていうふうに僕は勝手に信じてる笑)。
今回の2つの事件を経験してちょっと思ったのが、取引後にATMから出てくる(現金、レシート、キャッシュカード)順番って実はすんげぇ重要で、日本はそこにうまく工夫が凝らされていること。
日本のATMの場合、取引終了後は全てが同時に出てくるか、「キャッシュカード→現金とレシートが同時」のパターンが多いと思う。さらに親切にも「お取り忘れにご注意下さい」のアナウンスやピーッピーッというブザーまである。
当たり前だか、一般に人がATMに行く目的は現金を引き出すためであるので、現金を取り出すのは絶対に忘れない。なので、その他の忘れやすいものを先に取り出させてから最後に現金を取り出せるしくみになっているのである。
しかしバリ島のATMは「現金→レシート→(取引続行しますか?の画面を経て)→(Noを押してはじめて)→キャッシュカード」の順番だ。希望額がきちんと出てきてレシートまで受け取れば、そこで安心して、続行画面の操作を忘れてしまい、結果カードを取り忘れる。さらに厄介なのは、「取引続行しますか?」の画面だ。ここでYesを押してしまえば、暗証番号を入れた後の画面に飛び、希望額が自由に入力できてしまう。キャッシュカードを奪っても暗証番号がかかっててキャッシュ化できないことを分かっているのか、強盗が狙っているのはキャッシュカードではなく、僕らに暗証番号を入力させてからの、解除された後の画面を狙っているみたいだ。
出てくる順番が「現金→レシート→取引続行の画面→キャッシュカード」になっているインドネシアのATMは、キャッシュカードの取り忘れとATM強盗を助長する。
今回僕がATMについて考えさせられ、最終的に導き出した結論(笑)
海外のATMは、色んなパターンがある。上記のような、最後に出てくる順番が違ったり、最初のキャッシュカード自体も完全に差し込むタイプもあれば、最初に差し込んだ後にすぐに引き出すタイプもある。 皆さんも海外のATMを利用する際は、どういうタイプのものなのかをしっかり確認してほしい。
さぁ、視野を広げる世界一周の旅に出よう!
はじめまして!ちょうどこの3月に、東京外国語大学ヒンディー語専攻を卒業した人です。
実は僕は2年前(2015年)に1年間休学して、約5ヶ月間の世界一周の旅に行ってきました。
そこで今回は、帰国後よく聞かれた3大質問
「いくらかかったの? 」
「どこが一番良かった?」
「海外って危険なイメージあるけどどうなの?」
に答えていきたいと思います。
1. いくらかかったの?
まず世界一周の費用は一概には言えません!100万円で周る人もいれば150万円くらいかかる人もいると思います。ちなみに僕は正直なところ200万円かかってしまいました。
ただここで皆さんに思って欲しくないことは、200万円ないと世界一周ができない!とか、世界一周はかなりハードルが高い!というようなことです。その人の旅の目的やテーマによってそれらを達成し得る可能な最低額が変わってきます。例えばその国の伝統料理を食べ尽くすというテーマにすればそれを叶えるための最低額があり、ビーチでマリンスポーツをするというテーマにすればそれを叶えるための最低額がまた別にあるといった具合です。
僕の場合、バックパッカーとしては多少お金を使ってしまった方ですが、それは世界の色んな乗り物に乗って、その予約の仕方、乗り方、内装、サービスを体感するというテーマにしていたからです。僕は今まで海外旅行はパッケージツアーでしか行ったことがなく、より安く、本当に自分がかけたいところに十分な時間とお金がかけられる自由な個人旅行をしてみたいなぁとずっと思っていました。そのためには移動手段や宿泊施設の手配のやり方といった、旅の技術を身につける必要があると思い、このテーマに設定しました。なるべく色んな移動手段を体験してみたく、また「他でもなくこの飛行機に乗ってみたい!」と思った航空会社もあったことから、LCCでも行けるところをあえてフルサービスキャリアで移動するっていうようなことをしていました。飛行機代は旅において最も高額だけど絶対にかけざるを得ない買い物となります。 僕の場合、ここにこだわって旅をしていたので、少し費用がかかってしまいました。
次に僕自身が旅をしている中で自分なりに考え出した、世界一周を一番安く行く方法3つ(①②③)と、実践したら安くなりうる方法2つ(④⑤)をご紹介します。特に前半3つに関しては優先順位順に列挙してあります。
①ムダを徹底的に省く
決して周りの意見や、ガイドブックの「ここを訪れたら絶対に行っておきたいおすすめ定番観光地ベスト10」のような謳い文句に流されないようにしましょう。ガイドブックはあくまでこの国にはどういう観光資源があるのかを知るためのテキストブックとして使います。
「本当に自分が望む旅はどんな旅だろう?」
まずは国からではなく、やはりテーマを先に決めるとよいと思います。世界一周だからと言って、たくさんの国を回る必要なんてありません。訪問国数が一桁でも全然OKです。自分の旅のテーマや目的をきちんと果たして発信すれば、それが一番のネタになります。
②物価の安い国にどれだけ長くいるか
極端な話、1年間かけて世界一周する人が、アジア、アフリカ、中南米に11ヶ月、ヨーロッパ、アメリカに1ヶ月滞在するのと、その逆の場合では、かかるコストが全然違ってきます。同じペットボトルの水でも1ユーロと20インドルピー(36円くらい)の違いが生まれます。宿泊地も3000円レベルと1000円レベルの違いです。長期間かけて世界一周している方々は、何も期間中ずっと連続で移動観光を繰り返しているわけでは実はありません。自分の目的を果たすのにはそんなに日数は必要ないけれども、ここに滞在しておいた方が生活費が安くなるという理由で、例えばタイに3ヶ月、インドに2ヶ月滞在するという旅の仕方をしています。弾丸の旅よりも時間にゆとりを持った旅の方が1日あたりのコストは安くなるということです。したがって例えばアジア、アフリカ、中南米を長めに、ヨーロッパ、アメリカを弾丸で抜けるようにすれば、生活コストはうまく配分されると思います。 宿はドミトリーかカウチサーフィンというサービスを使えば安く抑えられます。
あとコストとは直接関係はありませんが、日本人観光客の多い都市だと、日本人宿という、日本人専用の宿泊施設がある場合もあります。宿は僕の場合、agoda.com, hostelworld, booking.com, hotels.com の4つを使い分けていました。agoda.com は主にアジアのドミトリーの予約で使っていました。booking.com がこの中では最も知名度が高く、安宿から超高級ホテルまで最も幅広く掲載されています。
③何もしない日をどれだけ作るか
当然ですが、観光もタダではありません。さらに観光する場合、徒歩圏内は除いて、そこまでの交通費も伴います。せっかく海外に来てるのだから、もっといっぱい回らないと!と思うかもしれませんが、必ず疲れる時がきます(笑)。10時とか11時とかに起きて、ただホステルでダラダラ過ごす時間もあってよいでしょう。そうすればその日にかかるお金は食費くらいで大した出費にはなりませんし、何より休養になります。観光客としてではなく、そこで暮らしている感覚で旅をするという感じです。なので、弾丸の旅よりも時間にゆとりのある旅の方が余裕を持ってこういう時間が作れるので1日あたりのコストはむしろ安く抑えられます。無駄な滞在だと思い、時間がもったいないことを気にして、旅の回転を早くするのは実はあまり節約にはつながりません。
④あえて遠回りした方がトータルで見ると安くなる時もある
これに関しては、完全に僕の一事例を用いて説明したいと思います。そして手元に世界地図を持ちながらの方が理解しやすいかと思います。
アメリカのロサンゼルスからハワイのマウイ島に移動しようとした時です。直行便が35000円で飛んでおり、これに乗るのが一番楽な方法でした。しかしロサンゼルスから500kmほど北にあるサンフランシスコからも同じように直行便が23000円で出ていました。「ロサンゼルスから飛ぶのが一番手っ取り早くて楽だけど、この差額の12000円でサンフランシスコまで移動して数泊滞在することできるんじゃね?むしろ12000円以内でこれらの工程は抑えられるかも?」と思い、サンフランシスコ自体に目的は無かったのですが、あえてサンフランシスコまで移動してからマウイ島に飛ぶことにしました。想定通り、後者の手段の方がトータルで安く抑えることができました。
⑤飛行機の場合、例え必要なのが片道のみであっても往復で買った方が安くなる場合もある
飛行機移動の場合、たとえ必要なのが片道だけだとしても、常に片道ずつ買って一筆書きで行く必要はなく、むしろ往復で買った方が安くなる時があります。僕も驚いたのですが、往復で買うと単純に片道の2倍の料金がするわけでは必ずしもなく、片道プラス1~2万くらいだったり、同じ値段だったり、むしろ安くなる時もあります。ちなみに飛行機自体はskyscannerというアプリを使っていました。
そしてビザ無しかつ片道のみの購入だと、むしろ入国できないというリスクが伴います。要するに出国証明が無いと不法滞在、移民の可能性が出てくるため、こういう措置をとる国あるいは航空会社があるということだそうです。どうしてももう少し長く滞在したい!となった時は往復で買っておいて復路分を破棄するという手段もアリかと思います。
2.「一番良かった国はどこ?」
はじめに、僕が訪れた国自体は17ヶ国で、中国、タイ、マレーシア、シンガポール、バングラデシュ、インド、アラブ首長国連邦(ドバイ)、トルコ、フィンランド、ドイツ、オーストリア、イタリア、スイス、フランス、スペイン、メキシコ、アメリカを旅してきました。この質問は漠然とし過ぎてて、答えるのが難しいというのが率直な意見です。というのは、単純にどこも良かったからです。良さは比べることはできず、それぞれで違う良さがありました。例えば、あまり観光地化されてなくて、現地の人々の生活ぶりがありのままに見れたという意味ではバングラデシュが良かったし、物価がほぼ一緒で食事も食べ慣れたものが多く、日本とのギャップが最も少なくて過ごしやすかったという意味ではドイツが良かったし、一番現地の食事でも口に合って美味しかったという意味ではスペインが良かった、といった具合です。
もし「もう一回行ってみたいと思う国ナンバーワンはどこ?」と聞かれたら、僕の場合、メキシコと答えます。テオティワカン遺跡を見に行く目的でメキシコ行きを決めましたが、メキシコ自体には強盗や麻薬等、最初はあまり良いイメージを持っておらず、正直心して降り立った感じでした。でも実際に行ってみると、そういう事件はどっかのごく一部の出来事に過ぎないんだなぁと気付かされました。物価も安く、現地の人々も皆親切で、自分が巡った国々の中で、思い描いてたイメージとのギャップが最もプラスに働いた国でした。 あとはスペイン語ができればもっと楽しめたかなぁと思う(メキシコはほぼスペイン語しか通じず、コミュニケーションの面ではすこし苦労しました)くらいで、次はスペイン語を勉強してからもう一回訪れたいです。そして今回は首都のメキシコシティーのみだったので、次回は長距離バスやLCCを使って、カンクン(ユカタン半島にあるカリブ海リゾート)、チチェンイッツァ(マヤ文明の遺跡)、オアハカ(先住民族の割合が高く、メキシコらしい雰囲気を味わえる都市)あたりを巡ってみたいです。
3.「海外って危険なイメージあるけどどうなの?」
「発展途上国=危険」「中東=危険」は本当か?
日本では、「発展途上国は危険だ」「中東は今行かない方がいい」というのがなんとなく共通認識になっているように思います。確かにテレビや新聞ではこれらの地域に関しての良いニュースはあまり流れていません。残念ながらどちらかというとマイナスなニュースの方が多いように思います。
しかし、実際は全く違いました。こういうマイナスな出来事は本当にごく一部のことで、報道されてないだけでほとんどの人は日本人と同じように親切で日本人と同じように平和を望んでいます。メディアが1%未満の出来事をあたかも99%以上起こってるかのように報道していただけで、それに私たちは洗脳されていたんだなと思いました。メディアが「危険な部分のみを見せていた」だけだったんだなぁと痛感しました。その国の実情は実際に行ってみないと分かりません。
例えば東京に関して、好きな人と嫌いな人が両方いるのはなぜでしょうか?それはメディアがプラスの情報もマイナスな情報も両方流してくれているため、我々は判断ができるからです。どちらの情報も知り得ているため、「確かに色んな人がいて、物騒な出来事も起こってるけど、でも何でも揃ってるし便利だから私は東京が好き」と言うこともできれば、「確かに便利なんだけど、人が多すぎるのは辛いから東京はあまり好きじゃない」と言うこともできるわけです。
しかし、それが発展途上国や中東に至ってはどうでしょうか?ほとんどがISILの動向をはじめ、怖いニュースです。これは僕の推測になりますが、例えば中東でも、紛争で離れ離れになった家族が、存命のまま2年ぶりに再会したといったような心温まるプラスの出来事も起こっているはずなのです。ただその部分は報道されないため、あたかも無かったことになってしまっています。全ての情報を網羅しているわけではなくマイナスな一部分のみ見ているに過ぎません。これでは我々は善し悪しを判断することができません。ISILに関する情報自体は間違っているわけではないので、報道すること自体が問題なわけではないのですが、それと同じ比率で、プラスの情報も流す、そしてそれらの情報をもとに僕たち一人一人が判断する、こういうプロセスが最も重要なことだなぁと思いました。 僕たちの目に届くニュースだけを信じて変な偏見を持たないようにすることが大事です。
その地が危険かどうかは、あくまで危険地域からの絶対距離で判断するものだと思います。陸路で接していているから近いとか、海を挟んでいたら大丈夫などというのは関係ありません。
トルコ最大の都市イスタンブールを例にとってみましょう。旅行好きな方々は、特に最近になってからは「行ってはみたいけど、治安がね…」と思うようになった都市だと思います。確かに陸路でシリアと接していますが、イスタンブールと、ISILが主都と称しているシリアのラッカという町は700~800kmほど離れています。日本に当てはめると東京と広島くらいの距離感になってきますが、例えば東京で凄惨な事件が起こったとして、翌日から広島県民の方々が周りを見渡しビクビクしながら外を歩くという事態にはならないですよね。単純に遠いからです。もし日本の距離感があまり分からない、日本に初めて訪れる外国人の方々に「来週広島に旅行しに行こうと思ってるんだけど、この前東京でなんかすごい事件起こったみたいで、今は日本行かない方がいいのかな?」と聞かれたら僕たちは何て答えたくなりますか?少なくとも「そうですね」とは言わないと思います。それと一緒です。特にトルコの人々は親日の方が多いので、日本人はむしろ歓迎されます。メディアで伝えられていないだけで、現地の人々は僕たちと同じように親切で、僕たちと同じように平和を望んでいるのです。
行きたいと思っている場所が危険かどうか不安な際は、危険地域からの距離を実際に測ってみて下さい。そしてその距離を日本に当てはめて、「日本だとこのくらいの距離だとどうなんだろう?」と考えてみて下さい。
ちなみに僕たちが「陸路で接している=近い距離間」と判断してしまうのは、おそらく日本が島国で、陸路で外国と接するという概念がないからだと思います。陸路で接しているのを、あたかも県境のような距離感で捉えてしまっているからではないかと思います。
あと、少し関連することですが、発展途上国に限らず海外は気をつけないといけないという意識が強いように思います。確かに日本ほど治安の良い国は珍しいのですが、だからといって僕は決して海外という場所そのものが危険というわけではないと思っています。日本と海外では習慣、価値観、考え方が全く違います。日本人は特に海外でのカルチャーショックはマイナスに作用することが多いように思います。例えば、海外ではおつりがきちんと返ってこないのは何ら珍しいことではありません。レストランではおしぼりは出ず、水も有料の場合が多いです。安宿に泊まれば、水シャワーとも遭遇します。トイレも紙が無かったりします。マイナスに作用してしまうのは、日本が安全過ぎる、便利過ぎるため、無意識に安全基準や期待値が世界と比べてかなり高いからです。海外が危険だとか不便だというふうに感じてしまう所以です。ただそれは海外と「違う」というだけで海外のやり方が悪いとか間違ってるとかダメとかっていう意味ではありません。海外は言葉が通じないだけでなく、習慣、価値観、考え方全てが通じません。したがって海外に行く際は、言葉が通じないから英語を勉強していくのと同じようにその国の習慣、価値観、考え方も勉強していく必要があります。
逆のパターンも見てみましょう。日本には世界の中でも珍しく、卵を生で食べる文化があります。これは日本での食品に関する安全基準が厳しいからこそ成り立つもので、海外では考えられないことです。そこで例えば、日本人が生で卵を食べている姿を外国人に見られて、「気持ち悪い!危ないからやめろ!」って注意されても、翌日から卵かけご飯というメニューが日本から消滅することは絶対にないでしょう。習慣として既に根付いているからです。「確かにお宅の国では危険かもしれないけど、日本では衛生管理がしっかりしているから大丈夫だよ」とも言いたくなると思います。
また、海外ではよく値段交渉をしなければならない場面が出てきます。日本的な感覚で海外に行くと、どうしても押しに負けてしまいます。海外にいる間は日本的な感覚は全て捨てて向こうの習慣に倣う必要があります。言い過ぎるくらいが海外ではちょうどいいと思って下さい。
旅してて思ったことですが、実は日本人は海外旅行は非常にしやすいです。日本人はほとんどの国にビザ無しで入国できるという意味でパスポートは世界最強ですし、"I'm from Japan."と言って嫌な顔する人はいませんでした。
長くなりましたが、ここまで僕が旅をしていて感じたことをありのまま、思い思いに綴りました。これから世界一周を考えている方や旅に関心のある方へ少しでも役に立てれば幸いです。読んで下さり本当にありがとうございました。
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